2006.12.18
「クルマをつくっている自分たちで“いいクルマだよね”とか“乗って楽しいクルマだよね”と思えなかったり、チームの間でモメ事があったりすると、それがクルマに乗り移る。モメると、“クルマがグレ”るんです。スネた感じのクルマになっちゃう。つくっているチーム、プロジェクトの雰囲気が、クルマに出る」
「だから、いかにみんなが同じ方向を向くかが重要。
みんなが、“そうだよね”と納得して、同じ方向を向いてつくらないと、クルマがバラバラになる。そのかわり、関わるすべての人が、みんなで同じ方向を向いていたら、いいクルマになる。
ぶつかり合ってもいいんです。いいクルマにするための議論なら。実際に、意見がぶつかることもあったし。みんなが同じ方向を向いて議論を重ねて、鍛え上げられると、一貫性があるクルマになって、芯が通るというか、わかりやすいクルマになる。クルマの魅力がお客様に伝わるんだと思う」
日産自動車の岡本です。
上の言葉は、大澤辰夫SCPS(セグメント・チーフ・プロダクト・スペシャリスト)の右腕として商品企画を担当した國見真志(くにみしんじ)に、スカイラインの商品企画について振り返ってもらっていたときに、國見が語ったもの。
新型スカイラインの商品企画を担当した國見真志(くにみしんじ)
「スカイライン」というクルマは、誰もが、それぞれに思い入れやこだわりがあるクルマです。関係者みんなが同じ方向を向くということにおいては、ある意味最も“やっかい”なクルマです。よく私は冗談めかして、日産の中でもっとも舅が多いクルマだといっていました。
冗談はさておき國見が目指した「同じ方向」とはどういうものなのか?國見の言葉が続きます。
「繰り返したメッセージというのは
“スカイラインは、乗って楽しくて、気持ちがいいクルマだよね”ということ。“楽しくなければスカイラインじゃない”とも言ってました。
もう少し詳しく言うと、スカイラインというクルマは、スポーツカーとして性能がいいだけではなく、ファミリーカーとして、セダンとしての実用性を両立させるクルマだよね。
スカイラインの歴史を振り返ると、それがもともとのスカイラインとしてのDNAだよね。
こんどのスカイラインも守るべきものだよね。ということ」
「次に、それをどうカタチにするかなんだけど、走りだけ考えれば小さくすれば運動性能は上がる。デザインだけを考えると車高を低くして、幅を広げればいい。
でも、スポーツカーとしての性能も持ちながら、家族を犠牲にせず、セダンとしての実用性も持ち合わせないといけない。相反する要素をまとめる必要がある。これは、スカイラインとしての宿命。
その中で一番バランスがいい答えを出してくださいというお願いを開発陣にした」
一台の新しいクルマが世に出るまでには、大変多くの人間が関わります。その皆が同じ方向を向く、同じ考えを持つようにするために、國見は何をしたのか?
「とにかく話をしましたね。それも、できるだけ顔を見て話をするように心掛けました。メールをするだけじゃなくて、電話をかける、会いに行く、会いに行って直接話すということを繰り返しました。知らない人が見たら、『この人はなんでこんなにしゃべるんだろう?』と思われたかも知れない(笑)。話をする上で気をつけたのは、ふたつ」
「まず、言うことがわかりやすいこと。終始一貫していること。話をする度に言ってることが違うんじゃ、聞いてる方は混乱します。そして、ここが大事なんだけど、“お客様のニーズにもとづいた言葉”で話をすること。ニーズと企画者の意図を混同しないで、あくまでもお客様の声の代弁者として話をすること」
「次に、よく話すこと。人と人なんで、どうしても誤解が生まれやすい。だから、もういいよね、これなら大丈夫だよね、というところまで、とことん話し合いました。もう、何回でも同じことを言う。オウムみたいなもんですよ。何っ回でも同じことを言うわけです」
「“スカイラインは乗って楽しくて気持ちいいクルマ”だよねって」
確かに國見は話し好きでした。
シンプルに言えば、「人間、話せば分かり合える」タイプ。時にはしつこいよと思うときもありましたが、そのしつこさや話のおかげでプロジェクトがまとまってこられたのは事実だと思います。これ本音です。
いまだから笑って言えることも。
先日、5日間に渡って箱根でジャーナリスト向けの試乗会がありました。
國見は、そこで、こう言われたそうです。
「久しぶりですよ!こんなに乗って楽しいクルマは」
おかげさまで、新型スカイラインは多くのお客さまからご注文をいただいています。
まだご覧になっていない方は、ぜひお近くの日産のお店で、見て、触れて、そして運転して、その楽しさ、気持ちよさを実感してください。
・「皆が同じ方向を向くということ」 商品企画 國見真志(1)
・「日本発、世界」 商品企画 國見真志(2)
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