相模原南橋本店のSORAです！
今回はショートストーリー第７弾！
題材は新型エクストレイルです！
＃愛して、愛されて、またここで君に
ふと思うことなんて、その時たまたま目に入ったことだったり、ずっと気にしていたことだったり、大抵はそんなものだと思う。
それが、新刊ロマンスの１ページ目をめくる君の横顔だったりなんてことは、日々を過ごしている中で思いつきもしないのだろうな。
車を止めて、蓋を開けた缶コーヒーから漂う湯気に、私は冬になったのだなと思った。
早いものだ。
今年が始まった頃には、今この瞬間に冬を感じるなんて考えもしなかっただろう。
缶コーヒーの湯気一つで、記憶や気持ちが呼び戻されるような感覚になるなんて、人間は単純な生き物だったことを思い知らされる。
季節が上着を羽織り、寒さがコートを強いる。
足早に過ぎる景色を、私は覚えていない気がする。
思えば、大事だと思っていたことだって、いつだか何を大事にしていたのか分からなくなったり、失くすまで思い出せなかったりする。
そんなことだって意外と簡単に起きるのだから、この瞬間を少し記憶に残しておきたいと思う。
また来年の今頃、缶コーヒーの湯気を見て、この麗らかな午後に思いを馳せることができるように。
穏やかな月日を過ごしたと思い出せるように。
私は窓の外を見ながら少し昔の景色を思い出した。
私の目が切り取った額の中では、まだ小さい頃の彼女が微笑んでいた。
その時を思い出せるなら、今のこの時だって記憶にしっかりと残せる。そんな気がしたのは、それもまた、ふと思うことなんだろうか。
車を降りると、先程までの缶コーヒーの温度のせいもあるのだろう。私の息は一層白くなっていた。
待ち人がここに来るまで、まだ少し時間がある。
いっそもう少し近くまで迎えに行こう。
時間の流れを変えてみるのも悪くない。
私は車を走らせた。
バス停の近くで車を止める。
すると、ちょうどバスが着いたところで、見慣れた姿がこちらへ向かって走ってきた。
その微笑みは私の記憶と変わらず、優しくもあり、少し恥ずかしそうでもあった。
変わらない。だから、その時が過ぎれば忘れてしまう。しかし、変わらないから、また同じ心地よさを感じる。
そんなことの積み重ねで、記憶は続いていくのだろう。
今日の景色の中の君に、また来年も会えるかな？
私は、時間と記憶と季節の移ろいに、また会えた微笑みを消されないように、今日の額の中にある景色をしっかりと目に焼き付けた。
「ごめん、待ったでしょ？迎えに来てくれてありがとう。お父さん」
「いや、そんなに待ってないよ。さあ、帰ってクリスマスツリーを飾ろうか」
「飾り付けは沢山買ってきたから」
娘の満足そうな表情も今日の額の中に追加しておこう。
さてさて、第７弾でした。
父と娘とクリスマス。
センチメンタル方向にしてみました。
「みなはし」では実際にエクストレイルに乗っているスタッフもおりますので、
ぜひぜひよろしくお願いします！
