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2022/10/10 15:05

#君がページをめくるなら・・・

こんにちは!
相模原南橋本店のSORAです!
今回はショートストーリー第5弾!
オーラが題材になっています!

#君がページをめくるなら・・・



 偶然と呼ぶか、運命と呼ぶか、それを悩むほど私は人に興味がない。
 何故なら、偶然というのは得てして私の都合や考え方を裏切るし、運命なら気の進まない責任がつきまとう気がするからだ。
 そんなことを思っている私が、人に興味を持つなんておかしな話なのだ。
 なんで君はそこにいるんだ?
 私は霧が勢いを増してきた山道に車を寄せて考えていた。



 私は車を降りるか迷った。人に興味がないはずの私が、歩道にただ立っている人影がどうしてこうまで気になるのか。
 人影を通り過ぎたところに止まったのだが、その人影は俯いたままで、こちらに歩を進めるでも、逆に遠ざかるでもなく、ただそこに立っていた。
 気味が悪い。そう思わない自分が不思議で仕方がない。そもそも人に興味を持っているのだから。
 私は、決心して車のドアを開けた。



「何をしているんですか?体調が悪いとか?」
 自分でも信じられない。
 私は話しかけていた。その時、近づいたことで人影が女性であったことに気がついた。
 私が話しかけたことで顔を上げたその人は、黒く長い髪がどくと、思いのほか端麗な容姿をしていた。
「いえ、別に何も。なんとなく、ぼんやりしていて・・・」
 彼女は見た目通りというのか、女性の中でも高い声だった。
「バスが通る道ではないですが、迎えを待っているんですか?」
 何をそんなに興味を持つ?何がそんなに気になるんだ?
「いえ、本当になんとなくぼんやりと・・・」
 私は自分が次に発した言葉に自分で驚いた。それが表情に出たかは分からないが。
「バスの来るところまで送りましょうか?」
「ご親切にありがとうございます。お願いできますか?」
 こんなことがあるのか。



 私が彼女を車に乗せてしばらく走ったところで、いかにも本数の少なそうなバス停を見つけて車を停めた。
「どうしてあんなところに?」
「自分探し・・・と言えば聞こえはいいですけど。でも、・・・このまま消えてしまっても・・・なんて」
「消える?」
 彼女はゆっくり静かに頷いた。
 失踪しようとしていたのか。さっきの感じだと、それはそれで納得できる気もする。
「でも、バスに乗って帰りますから。ありがとうございました」
 私は口が勝手に話し出すという経験は初めてだった。
「どうせまだバスも来なそうだし、少し話しませんか?」
 彼女はえっ?という顔をしたが、しかしその提案に応じた。
 ふと隣を直視できずに視線を落とした私は、彼女の左手の薬指の跡に気がついてしまった。



「自分探しって、もしかして・・・」
「気づきました?情けないですよね。自分探しだなんて嘘です」
 彼女は何か諦めたような、それでも少しスッとしたような表情をしたが、声色は泣きそうなほどに暗かったように思える。
「指輪を捨てに来たんです。山の中で二度と見つからないようにと思って。でも、指輪を捨て終わったら気が抜けて」
「それで、消えてしまおうか、しばらくぼんやりしていたと」
「はい」
 会話慣れしていない私には、こんな程度の言葉をかけるのが精一杯だった。



「言われるのは好きじゃないから、気を悪くさせたらすまないが、大丈夫だよ。今日の出来事は意外と早く明日に追い出されるものだから」
 前に読んだ小説かなにかの台詞だったか?私は内心こんなことでいいのか分からないままで話した。
「ありがとう。そういうことって、言ってくれる人はあまりいないから。大丈夫、とかはあるけど、今日と明日の境目の話。かなり当たってると思います。貴方に声をかけてもらえたことが、今日の私と明日の私の境界線になりました」
 おっかなびっくり言ったことが、意外にも彼女には響いたようで、明らかに表情も声色も明るくなった。



「もしよければ、駅まで乗せて行ってもらえませんか?帰ろうと思います」
 彼女はそう言って微笑むと、ペコリと頭を下げた。
「ああ、それがいい。駅まで距離があるから、もう少し話そうか?」
 私は自分の中にある何かの歯車が回りだした気がした。
「はい。なんのお話をしましょうか?」
 楽しげな表情の彼女に、私の表情も明るくなっていたことに気がついたのは、もう少し後のことだった。



 人が変わるキッカケは案外すぐ近くにあって、それもかなり簡単なことなのかもしれない。
 彼女を送る道中は、今まで感じていた人嫌いのような感覚は少しもなかったのだから。
 私と彼女の明日は、何か次のページのストーリーになるだろう。
 そんな気がした。


さてさて、第5弾!
ロマンス色強めにしてみたのは、オーラみなはし号の色が、偶然の霧と相まって非常に魅力を増したように思ったからなのです!
霧と青とオーラ。
キレイじゃないですか?

ぜひぜひ、みなはし号に会いに、そして乗りに、
そしてそして、新しい家族を迎えに来てくださいまし!

みなはし一同お待ちしております!

 
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