相模原南橋本店のSORAです!
今回はショートストーリー第8弾!
題材は新型セレナです!
#白む横顔に優しい笑みを

また予報が外れるのだろうと思っていた。
しかし、そんな私の甘い見通しはあっさりと裏切られ、降り始めた雪は勢いを増し、とうとう冬タイヤをケチったことを後悔するほどになっていた。
幸い上司の計らいで少し早く帰らせてもらえたが、この状態では先週から約束していた彼女との食事は延期にせざるを得ないだろう。

私は天気予報をもっと信じるべきだったと落胆しながら、彼女の帰路も心配なので、食事は延期にするにしても連絡することにした。
車を近くの駐車場に止めて携帯を取り出す。
すると、彼女の方から既に食事を中止にする旨のメールがきていた。

空の暗さに粉雪が舞う姿を見上げて、私は溜息をついた。
木々はおしろいでも塗ったかのように白く色づき、まるで寒さなど忘れているかのように、ただじっとしている。
彼女からのメールには「ごめんなさい。こんな天気だから今日は帰るわ」とだけ書いてあって、私にはそれが寂しさを誇張させる言葉に思えた。

私はしばらく車のエンジン音を聞きながら、寂しさを紛らわせようと音楽をかけることにした。
すると、携帯が鳴った。
「もしもし」
電話は彼女からだった。
「食事のこと、ごめんなさい。でも、こんな天気だからまたにしましょう」
「ああ、それがいいよ。ところで、君は帰れそうかな?」
「えっと、そのことで。電車が止まっていて、できたら車で来てもらえないかしら?」
私は猛烈に数週間前の自分を恨んだ。
なぜ冬タイヤの購入をケチってしまったのかを。

「やっぱり無理よね。ごめんなさい。タクシー乗り場に行ってみるわ」
「いや、大丈夫。ゆっくりしか走れないから少し時間はかかるけど、駅まで迎えに行くから」
私は後悔を踏み潰すような気持ちで、平静を装って答えた。
「ありがとう。ゆっくりでいいから無理はしないで。待ってるわ」
「ああ」
私は電話を切ると、決心してハンドルを握った。

「ごめん。待たせたね」
それから私が駅に着いたのは、普段なら10分ほどの道のりではあるのだが、慎重に運転したため25分ほど後のことだった。
「無理を言ってごめんなさい。ありがとう」
助手席に座った彼女の息はまだ微かに白かった。
「さっき来てもらうお礼にと思って買ったものがあるのよ。受け取ってくれるかしら?」
そういうと彼女は鞄を開け、小さな包みを取り出した。
「これは?」
「開けてみて」
彼女は微かに白い息を弾ませるようにして、微笑んで見せた。

促されるまま包みを開けた私は、つい窓の外で凍えるドアミラーに視線を逃がしてしまった。
驚いたのだ。
「これは?」
私の手の上にある包みの中には、シルバーの指輪が入っていたのだから。
「食事の時に渡そうと思っていたの。でも、この天気だから。それでもやっぱり渡したくて。ごめんなさい。結果的に迎えに来てもらうことになってしまって」
婚約指輪だった。

私は一度メーターを見てから、もう一度前を向いて深呼吸した。
「ありがとう。本当ならこっちから渡すよな」
私の声は恐らく上ずっていた。ただ、驚きは喜びに変わっていた。
「生意気だったかしら?でも、もし喜んでくれるなら――――」
私は彼女の言葉を遮った。
「ありがとう。喜んでる。同じ気持ちでいてくれるなら、一緒に、そばにいてくれ」
勇気を振り絞った。勢いに任せた。表現はなんでもいい。
嬉しかったんだから。
「はい」
やっと横を向き直した私の目に、笑顔の彼女が映った。

外は深々と雪が降り、凍える空気から私たちを守るセレナは、静かにリズムのいいエンジンの音だけを奏でていた。
さあ、第8弾でした。
あったかい話で、ちょっとロマンス。
いかがだったでしょう?
さて、この話に登場したセレナは試乗車みなはし号です!
ぜひぜひ、見に、会いに、乗りに来てくださいまし!
おまちしております!