ふと
テントから外に出た時、そこは
すでに世界は色を持たない暗黒の闇へと更けていた。
まだ
耳の奥にはクラプトンのアンプラグドのLonely stranger の
残響と、対流ストーブの温もり、そして暗順応への戸惑いを知覚した。
そんな無防備な私の双眼を貫く光、
それは真っ暗闇の林の隙間から
巨大な点で光る狩人の姿、
そうオリオン座だった。
友人も口を揃えて言った。
こんなに大きなものは
見たことない、と。
心許ない手元の灯りだけが
唯一ワタシヲ標ス”点“
となっていた。
だが
そこには彼のみ存在しない
そう誰も。
ペテルギウスも
リゲルも
或いは
源氏も
平家も
劈くような静寂の世界の中で、
ただ白い息だけが定期的に
見上げる宇宙(ソラ)を
白く染めては暗闇へと
消えていった。
…



