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2023/05/20 14:53

#またね。を見つけられたなら・・・

こんにちは。
三ツ境店のSORAです。
読み物シリーズ第5回です。

#またね。を見つけられたなら・・・



 どんよりした割にはそこまで不快ではなく、むしろ日射が少ない分乾いた風が吹くと心地良くさえある。
 そんな空気が漂う場所はあまりないような気がするのは気のせいだろうか。
 今まで都会に住んでいたのは、職場が近いからというだけで、別に好きで都会に住んでいたわけではなかった。
 だからだろうか?こんな天気でも心地良く感じられるのは。



 記憶の中にはぼやけた風景が佇んでいて、またそれをぼんやり見ている私が客観的に思い出せる。
 いつの記憶だろう?
 転職する前に旅行で来た時の記憶か?
 思いつく限りではそのくらいだ。



 晴れていれば美しい景色のデッサンでもするところだが、今日の空は生憎ご機嫌斜めのようで、私の気まぐれは叶わなかった。
 煙草を銜えて火を点ける。
 ゆっくりと吐いた煙は、行き場に迷ったようにふらふらと空に消えていった。
 この場所が好きになったのは、ただ景色を気に入っただけではなく、都会のような焦った感覚がないことも大きい。
 転職を機に移り住みたいと妻には言ったが、ここに住みたいから転職せざるを得なかった、が正解なのは私の中の秘密だ。



 水辺まで行くと、水面は大きな鏡にでもなったかのように、風の揺らめきに合わせて色々な空や光や風景を映していた。
 前にこの鏡を眺めた時も一人で煙草を銜えてのんびりと風を感じていた気がする。
 居心地の良さも私の心に働きかけたのだろう。
 この静かな場所、美しい風景、時期によっては可憐に色付く山肌に合わせて、車も静かな電気自動車に変えた。
 車が好きな私がガソリン車を買わなかったことに妻は驚いていたが、その瞬間ごとを切り取って付き合うのが車なのだからいいのだ。何より私が納得している。



 さあ、そろそろ暗くなってきた。
 揺れる水面が月を映す前に工房へ戻ってもう一仕事しようか。
 私は別れを惜しむような気持ちで、もう一本だけ煙草に火を点けた。



 明日の天気が良かったらまた来てしまうかな。
 そういう場所だから住みたくなったのだ。
 さて、のんびり帰るとするか。
 いやいや違った。工房でもう一仕事だ。
 私はアリアのハンドルを握った。


さてさて、読み物がたり。
寝る前、通勤、なんとなく。色んな時の片手に読み物。
なんとなく車が欲しくなったら三ツ境店へ!

 
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